発売日直後にゲットしたにも関わらず、昨日ようやく読めた「夫のちんぽがはいらない」。紆余曲折があったにせよ、最終的には「はいらない」でもやっていける夫婦の形にものすごく心を揺さぶられた。
前にも書いたけど、私も「はいらない」恋愛をしたことがある。
私にとって、そしてきっと彼にとっても、この「はいらない」は、ものすごくショッキングな出来事だった。彼に一瞬芽生えた「女もいけるかも」という希望は一瞬で打ち砕かれたし、私にとっては相手がLGBTとはいえ、自分の体に反応して萎んでいく彼の体に傷つけられた。そして「はいらない」が明らかになった日を境に、お互いに連絡をとることはなくなった。
セックスレスに悩む夫婦は多い。私もずっと肉体が介在してこその夫婦/パートナーシップだと、今まで信じて疑わなかった。ただたとえ性行為を外注したとしても、繋がっていたい関係があるのだ。
ちんぽが入らない人と交際して二十年が経つ。もうセックスをしなくてもいい。ちんぽが入るか入らないか、こだわらなくていい。子供を産もうとしなくていい。誰とも比べなくていい。張り合わなくていい。自分の好きなように生きていい。私たちには私たちの夫婦のかたちがある。少しづつだけれど、まだ迷うこともあるけれど、長いあいだ囚われていた考えから解放されるようになった。
「夫のちんぽが入らない」こだま著
作者のこだまさんの「夫」への愛というのは、たとえ相手が風俗に行こうが精神を病もうが一切揺れ動かず、そしてぶれない。そんな愛する人と出会えたこと、そして相手も同様に思ってくれてるであるということ。なんて素敵な関係性なんだろう、と心から思う。
この本を読んでまっさきに思ったのは、私とLGBTの彼、もしこの本を読んでいたとしたら、「はいらない」が絶望的な事実にならなかったのではないかということ。この夫婦のような関係を築ける可能性を試してみることができたのかなということ。
世の中には色々な「こうあるべき」が溢れている。だけど「あるべき」が少ない世界の方が圧倒的に素敵だ。