ちょっと前の話になるけど、
1円ライターから見た、キュレーションサイト「炎上」の現場 « マガジン航[kɔː]
この記事が出た後に
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取材ができない、そもそもしたことない、けれど、書くことに携わりたい。残念ながら、ライター業界にそういう仕事はありません。1から10まで書くことだけで完結する仕事は存在しません。そういうのは知名度も人気もある半分タレントのエッセイストがやることですね。素人がそういう仕事に就けることは100%ありません(夢見る人がいないように断言します)。
同意している人が多かったけど、私は違和感がある。
多分この記事を書いた人は紙媒体の話をしているのだと思う。確かに紙の媒体で書く時は
- 編集者の人と案出し
- ネーム/ラフ作成
- 取材
- 執筆
- 取材先確認
- 校正
という流れがほとんどなので、「4.執筆」の全作業工程に占める割合は、非常に低い。だからキュレーションライターをしていても紙のライターにはなれないというのはそのとおりだし、紙の媒体と同じような流れで記事を作るしっかりしたWEBサイトのライターも難しいとは思う。
ただ、私が1年半前から始めたランサーズやクラウドワークスで仕事をもらうような「WEBライティング(キュレーションライティングも含む)」は
- (依頼)
- ネーム/ラフ作成
- 執筆
- 入稿
と家から一歩も出ずに完結する。たとえば以前「不動産サイトにコラム」というお題×1500文字×20本の記事をというのを受けた際、かかった時間は
- 案だしに1時間強
- 調べる時間に1記事×15分
- 書くのに1記事30~45分
で、〆て21時間くらい。取材はしていない。
そしてこの仕事を、1文字単価1円で書くと30,000円、2円で書くと60,000円、5円で書くと150,000円となる。1円で書くと時給1400円+αではあるけど、5円だと時給7,000円となる。1文字単価5円くらいで書けるようになると、紙のライティングより、全然割がいいんじゃないだろうか。ちなみにこの1年で、私が執筆した中で一番単価が高いライティングは、1文字15円だった。
取材もなしにただ文章を書くだけで、何故こんな単価がもらえる仕事があるか、なのだけど、Googleの検索上位に表示された際のCTR(クリック率)が恐ろしく高いのと、そもそもページが表示されただけで儲かる仕組み(Googleアドセンスなど)があること、更には、ある一定のアクセス数があると、サイトの質によらずにモノを購入する/サービスに興味を持つ層が一定数いることが起因する。
特に高単価の仕事の代表、美容/健康食品ランディングページのライティングの場合、お客様の買うモチベーションというのは、芸能人をはじめとしたインフルエンサーの口コミ、雑誌やTVでの取り上げられ方などである程度高いので、ランディングページというのはそのモチベーションを落とすことなく、購入ページのクリックにつなげるだけでよい。
そして美容/健康食品系というのは粗利がすごく高いので、ランディングページにかける予算も多く、そして無難な内容がコンパクトに書いてあるだけの文章にかける予算も高い。1文字5円も出せばランサーズ内でも実績のあるライターがこぞってプロジェクトに応募するので、質のいいライター(これは締め切りをきちんと守って、リライトの必要がないまともな文章を書けるという、紙の媒体だと最低ラインだと思う)を見つけやすい。そして、相場より高い金額で、クオリティを求めないライティングを発注するクライアントさんはそこそこいて、そしてそういった人との仕事をしている限り、「WEBライター」というのは時にして紙媒体のライターよりも高収入となる。
もちろん突然はじめて、1文字5円の仕事をできる訳ではない。王道はWELQで問題になっていたような「1文字0.5円~」のような仕事でも積み重ねて、クラウドソーシングサイトの評価を貯めていくこと。この評価をある程度貯め、そして月に2万円くらい稼ぐようになると、ランサーズの場合は「認定ランサー」になり、認定ランサーにしか発注されない仕事や非公開の仕事に声をかけられるようになる。ここまで来ると、レギュラーの仕事も入りやすく、更にレギュラーで仕事をしていると、1文字単価アップの話がくることもある。(1文字いくら、で契約しているメリットなのだけど、1文字1円で受けていた仕事が倍の2円になったりもした)
私が今までみた中で一番この方式で成功されている方は「名もなきライター」さんで、今でも月に100万以上稼がれているんじゃないだろうか。
彼女のブログがとても面白いのは、2014年はそれこそ1文字1円のような仕事をしていたにも関わらず、2015年以降、どんどん高単価の仕事を請けるようになり、収入がうなぎのぼりに増えていく軌跡が追えることだろう。ある意味、彼女が1円ライターの可能性だ。
正直、この「WEBライティング」というのが未来永劫の仕事かというと疑問がある。また「ライターになりたい」と言っている人のやりたいことが、果たして健康食品や美容系のナニカに対する割と機械的なライティング作業なのかというと、違う気もする。ただ、それこそ家事なんかの合間にでき、家から一歩も外を出ずともお金がもらえる「WEBライティング」という仕事も書いて収入を得る、という意味では「ライター」ではあるし、「稼ぐ」という点でもそんなに悪くないんじゃないかなというのが、私が思うことだ。
もちろん、この先に「ヨッピー」や「しおたん」になれる道があるかというと、それはない。(と私も思う)