あたしは大学時代、つまらない授業をほっぽってアルバイトに精を出し社会勉強をし、そのお金で海外放浪して世界を知った。学生時代という時間の使い方の生産性は、すべての授業に出る生活より圧倒的に高かった。「さぼらず授業にでるのが良いこと」と思ってる人、それって本当に自分のアタマで考えた?
— ちきりん (@InsideCHIKIRIN) 2016年11月28日
大学の過ごし方に関するちきりんの↑のツイートが炎上した。
-日本における大学なんて、「学歴」を買うに等しく、授業そのものにはあまり意味がない。せっかくの自由な時間を使って、もっと働いたり、世界をみたりした方がよい。
そんな事を言う人は昔から世の中にいっぱいいて、そして私自身は今でもそんな風に思っている節がある。だからちきりんの↑の発言に対して、そんなに反発する人が多いんだということにビックリした。
日本の大学は「ちょらく」と呼ばれる授業をとっている限り、ほとんど授業に出なくてもレポートだけ出せば単位がとれてしまったりする。
私はちきりんと同じ考えの持ち主だったから、「ちょらく」と呼ばれる授業ばかりをとりり、アルバイトしてお金を貯めてはアジアのどこかの国に行く、ということを大学時代に夢中でやった。バイトも、TVのエキストラ、ヒーローショーの司会、キャバクラ、ライター、野球場でのビールの売り子など、色々なことをやってみた。
身のまわりに大学生がいたら、「いっぱいいろんなバイトして’、海外に旅とか行った方がいい」とちきりん以上に熱をこめて語ると思う。そしてもしもう1回大学生をやることになっても、またバイトと旅行は欠かせない。
一方で、「もっと真面目に授業に出て、色々な知識を身につけてもよかった」という思いもある。「教養」に関して言うと、社会人になってそれなりの年数が経った今、心理学・哲学・歴史の前提知識が欠けてるなと感じることが少なくない。「ああ、学生時代にもっと勉強しておけばよかった」というのはちょくちょく思うことで、特に哲学は、授業をとっておけばよかったなと切に思う。だからもしもう1回大学生をやることになったら、バイトと旅行だけじゃなく、もっと本を読んだり講義を受けておきたいなとも思っている。
ただ残念ながら大学時代は4年間しかない。時間はとても有限だ。バイトも旅行も勉強もほどほどにするのがよいのか、勉強に集中した方がいいのか、やっぱりバイトと旅行に振り切った方がいいのか、結局それぞれが選ぶしかない。そしてそれが人生で一番大切な「選択」てやつなんじゃないだろうか。
人生に対して、明確な答えを求めている人が多くはないだろうか。
「大学は勉強をするところだから、勉強に集中する方がよい」と誰かがズバっと言って、それに多く賛同する人がいてそれで「決着」としたい人が多いように思うけど、実際はそんなに世の中簡単じゃない。
大学4年間の過ごし方ですら、勉強ばかりして成功する人もいるし、バイトと旅行に明け暮れたちきりんのような人もいる。大学時代に何をしたか、で確実になる未来なんて何ひとつない。
それでも「4年間」という時間をかけて身につくだろうものはたくさんあって、それを自分の場合はどうしようか、というのが大学生が今、考えるべきことだし、自分の場合はこうだった、とその経験を語ってシェアすることが、既にその時期を通過した大人ができる有益なアドバイスなのだと思う。
ちきりんの発言は、ちきりんが思う、自分が経験した学生時代に対する率直な感想と、そこから来るアドバイスであって、もし違うと感じるなら「自分の場合はこうだった」「自分はこう過ごすといいと思っている」と伝えることなんじゃないだろうか。ちきりんが思う「理想の大学生活」と誰かが思う「理想の大学生活」はそれまで過ごしてきた時間や環境や人生に対する目標が異なる以上比べることはできなくて、つまりちきりんの正義は、誰かの正義ではない。
ちきりんの発言から、みんながどんな大学生活を過ごして、何が今でもよかったと思っているか、何がよくなかったかと思っているか、の発言がされたら、今の大学生にとってとても有意義だったと思う。
次回はそんな議論になるとよい。