ジェレド・ダイヤモンドの「文明崩壊」を手に取ったのは偶然図書館で見かけたから。この著者の前作「銃・病原菌・鉄」が面白かったので、これもきっと面白かろうという事で借りてみた。
結論、面白いは面白いものの、とにかく読んでいて背筋が寒くなる本である。。イースター島・グリーンランド・マヤ帝国。この3つの文明に共通しているのはそこで暮らした人々が大地が脆弱である事に気づかず、人口が増え、環境が回復するより破壊が進んでしまい、土地が荒れ、食べ物が行き渡らなくなったこと。その結果なにが起きたかというと奪い合いを目的とする争いの果ての衰退。(ただグリーンランドについてはただ単に皆グリーンランドに愛想をつかして土地を捨てただけという説もあるようだ)
そして1994年のルワンダ虐殺が、まさにその歴史をなぞっているのではという筆者の指摘に私は思わず声をあげそうになった。
ルワンダ虐殺。詳しくはwikipediaあたりを参照して欲しいのだけれども、簡単にいうとルワンダのツチ族とフツ族という種族同士が殺し合い、100日間で50万人から100万人が殺された。もともと対立構造はあったものの、国民の10%〜20%が殺されるような事態に発展したのは、隣の人を殺しさえすれば、その人の土地と財産(家畜)が手に入るから。それほど彼らは今日食べるにも困る環境下に長く身を甘んじていたのだった。
そんな状況におかれたら、私もマチェテ(刀)を振りかざし生きるために隣人を殺すのかも知れない。何だか遠い世界のただアンビリバボーな出来事が一気に身近に感じられ、そして背筋がますます寒くなったのだ。
「戦争反対」というのは誰もが思うことだけれども、争いが起きる原因をきちんと理解しそれに対して考えないことには、第二第三のルワンダの悲劇を産むだけなんじゃないか。そしてこの本を読んだ私が思うに争いの原因は多くの場合「飢え」であり、それを防ぐためにはただ食料を援助するのではなく、土地の再生や食料を確保する仕組みを含めて手助けしていく必要があるのではという事を思ったのだった。
とはいうものの、いったい自分には何ができるのかという事が、何だかもやっとしたままだけれど。